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ニュースティッカー訴訟 補足
今日(11/15)の昼に投稿した、ニュース見出しをめぐるビジネス訴訟の記事の補足です。
知財高裁判決文において、

判決の結論である主文をよくよく見ると、

 1 原判決(=一審の判決:デジタルアライアンス勝訴)を次のとおり変更する。
 (1) 被控訴人は,控訴人に対し,23万7741円及びこれに対する平成16年
   10月1日から支払済みまで(地裁勝訴後〜)年5分の割合による金
員を支払え。
 (2) 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
 2 控訴人が当審(=知財高裁裁判)で拡張した請求をいずれも棄却する。
 3 訴訟費用は,第一,二審を通じ,訴えの提起及び控訴の提起の申立て手数料の
   うち1万分の5を
被控訴人(=デジタルアライアンス)の負担とし,その余の訴訟
   費用はすべて
控訴人(=読売新聞社)の負担とする。
   →これは、デジタルアライアンスが遠方にあること、この訴訟において、読売
    新聞社側から全く事前交渉がなかったこと、等を裁判所が理由として挙げて
    ます
 4 この判決は,上記1(1)の部分に限り,仮に執行することができる。

これを見ても、やっぱり、必ずしも「非がデジタルアライアンスにある!」という訳でもない、と感じてしまいますね。いきなり、訴えを小さな会社に吹っかけてる、という見られ方をされなくもないですね...。
やはり、社会において強い存在、大きい企業は、公正でかつ公平であってほしいです。
価値観が大きく変わっていくこの現代で、まだ、昭和40年代の松本清張や山崎豊子の
描いた世界観を垣間見せられた気分になってしまいましたから。

じゃあ、読売新聞社の言うように、本当に見出しリンクの使用を有料にすれば、どうなんでしょう?
恐らく、本当のニュース価値競争が始まるような気がします。ネットのニュース市場は、新聞市場よりもユーザの価値評価はキビシイでしょうね。

みんな、ヤフーやGooのような、総合ニュースの一部としか契約しなくなるような気がしますが。ネットは、会社規模だ、ネームバリューだ、という価値観は、ある意味通用しないところがありますし、実社会も、もう、それだけでは生きていけない時代です。

最近、ほんとによく思います。よい社会はよい人間から。
SBI(ソフトバンクインベストメント)の北尾CEOのいう、「強い会社から独立した強くて尊敬される会社へ」ではないですが、強く、尊敬される、人間として公正で偏らない人間らしい考え方をする人が増えていくこと、独立した強い尊敬される会社が増えていくことが、二昔前のような、金と規模を圧力にしてしまう、一歩間違えば、偏った社会観を作ってしまう危険を超えて、よりよい社会を築いて行ける最初の一歩になる。

そう信じたいですね。

ちなみに、判決に至った、裁判所の判断の論旨は、判決文の最後の方にあります。
(最初は主文でいきなり結論ですが、その後から、延々と控訴人読売新聞社の訴えと
被告人デジタルアライアンスの訴えが続きます。)
「第5 当裁判所の判断」からです。不法行為による侵害の判断は、この更に更に
下の「4 不法行為を理由とする請求について」です。

いやあ、法律というのは、人間の尊厳を守る、という根本的な思想の上に立つものであるだけあって、読んでると、時に、「本当に人間にとって大事なものは何か」ということをまじめに考えさせられてしまいますね。

裁判も人間力が問われるんだなぁ、としみじみ思って、補足のつもりが、ちょっと、突っ込んだ感想を書いてしまいました。
| 日常の知財 | 19:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
ニュースティッカー訴訟 〜見出しをめぐるビジネス訴訟〜
知財検定が終わってから、余り更新をしない日が続いてましたが、ぼちぼち雑記帳や、知財検定の勉強で気になっていた知的財産に関わる時事ニュースについても、じっくり読んで、ブログで書いてみたいと思います。

さて、今回の話題は、ライントピックス(LT)のデジタルアライアンス社と読売オンラインニュース(以下、YOL)の読売新聞社の著作権侵害、不正競争防止法、不法行為をめぐる訴訟問題です。

ライントピックス(以下LT)は、サイトに貼れるニュースティッカーで、デジタルアライアンス社は、ユーザー登録したユーザが配置したLTにリンク見出しを配信するサービスを行っており、ライントピックスへの配信ニュースとしてヤフーニュースを使用していました。
ヤフーは有料で読売オンラインニュース(以下YOL)の提供を受けて、ユーザに無償で公開しており、同時に広告を掲載して広告料を得ていました。

で、読売新聞社がデジタルアライアンス社に対して、

わが社のニュース見出しをそのまま使用して、収入を得ている(お金儲けをしている)。けしからん! 著作権侵害、不正競争防止法、不法行為である。損害賠償を支払え。また見出しを使うのを差し止めする!」

と訴えた。

一審では、著作権侵害と不法行為について争い、地裁判決は、「デジタルアライアンス側が勝訴」し、原告(読売新聞社)の訴えが棄却された。
二審控訴では、不正競争防止法違反が追加された。判決は、今年10月に出され、これは「読売新聞社側の勝訴」となった。
判決文はこちら>>知財高裁判決

二審の判決をよく読むと、YOL側の主張は、それほど認められている訳ではないことがわかる。
損害賠償は、不法行為ヤフーなど有料でニュース提供してもらっている他
サイト同様、ニュース見出しで営業が成り立っているため、使用料を払うべきという理由
にのみ、損害賠償23万7741円が限度。それ以外の損害賠償(著作権、不正競争法)は該当なし、とある。

ちなみに、損害賠償の使用料は、ひと月1万円強。デジタルアライアンスの広告収入は月5万程度。平成14年末時点で、3000万アクセス。収入の20%取られている。

これ以上多いとぼったくりではないか?というギリギリの線のように思うんですが。
エンジニアの関わる特許料でもこんな割合、そうそうないですよね。知財検定の本では特許料は収入の数パーセントでしたよ。見出しを丸々使うからですか? 

上の損害額(23万円)は控訴人YOLに使用料を支払っている実例が65個の見出し使用で月10万であったので、これを、ライントピックスが実際に配信に使ったニュース見出しの数で割って月1万として算出したものです。

判決文の判断をみて、新しく疑問に感じたんですが、

そもそも、リンク見出しは、そんなに価値があるんですか?

有料だとしても、月10万や20万の価値が果たしてあるんでしょうか?
値段によってはやりすぎになりそうな気がします。

裁判所は、損害賠償の論拠として、
有料ニュースのリンク見出し提供がある一方、それを無断で営業に使っているものがいると、実害があるといえなくもない。」と言ってます。
その一方で、額を決める際に、
こうしたニュースの見出しニュース提供料というのは、確たる基準もなく、何も決まっていないに等しい。
と言っいるように読めます。

つまり、上に書いた私の疑問を起こさせる本来の問題点をさりげなーく提示しています
見出しで興味があれば、クリックして、YOLのサイトに行って、ニュースを読むだろう。裁判所の調査によれば、実例で挙げられたinfoseekスティっカーで、実際に見出しをクリックする確率は8回/1000に満たないそうです。
ニュースへの関心度、という条件を差し引いたとしても、見出しリンクがニュースという価値商品の特別要素や特別価値になってないと、私には思われます。

で、先ほどの疑問。本当に、高いお金を払う価値があるんだろうか?
その値段、妥当なんですか?

ニュースティッカー等のパーツ設置は、あちこちのサイトでありますが、まあいえば、HPという社会のあちこちに、新聞社やテレビのニュース見出し広告塔が置いてあるスタンドがあるようなものですよね。
必ずしも、電光掲示板のように、ニュースの概要がある程度わかるものではない。(見出しだけで、5W1Hがわかるものは少ない)

ライントピックスの場合、見出し「だけ」で営業していたことが、不法行為侵害の判断をさせてしまった要因になるかもしれません。
この勝訴だけで、どのサイトに対しても、見出しも「ニュース配信だ」と主張することは、できないように思われます。意味合いが違いすぎますし、逆提訴されかねない感じがします。

勝訴はしたんでしょうが、この判断を機に、HPでのニュース提供について、本当の適正な価値が見直されることを期待したいです。

以下、上記の知財高裁判決文 を読んで、その論旨をまとめてます。

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| 日常の知財 | 11:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
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